インプラントオーバーデンチャー

  • 2015.07.09 Thursday
  • 08:20
インプラントによる修復法には大きく分けて二つあります。
一つは、インプラントの上の歯の部分の部品(上部構造と言います)が、セラミックや金属でできた歯やブリッジになっているもの。
これは普通は、ネジやセメントでインプラントと固定されているため、口の中に入りっぱなしで患者さんがとることはできません。
もう一つは、上部構造が取り外し式の入れ歯のなっているものです。
これを、インプラントオーバーデンチャーと言います。
本日はそんな話です。

インプラントオーバーデンチャーを用いる利点は、多くの歯が欠損している患者さんにおいてインプラントの本数を少なくして修復できることにあります。
ただ、固定性のものでなく、自分で外す入れ歯タイプなのである程度の違和感があることは、通常の入れ歯による修復方法と共通しています。
違和感の元凶である、入れ歯の歯肉の部分や真ん中に通る大きな線もつけなければならないことがあります。
下顎義歯
また、「せっかくインプラントにしたのに上は入れ歯なんですか?」という不満もあると思います。

しかしながら、上から見ると入れ歯ですが、中にインプラントが入ることで入れ歯の下の歯肉には大きな違いが生まれます。
インプラントによって、通常は沈み込んでやがて骨を吸収させてしまう入れ歯の動きが抑制されます。
これは非常に大きな変化です。
インプラント1本インプラントオーバーデンチャー1本
また、インプラントの位置によっては、入れ歯のバネや反対側の歯にかけるばね、真ん中に通る線を省くとこができたり、ピンク色の床の部分が小さくできたりします。
インプラント2本インプラントオーバーデンチャー2本

問題点としては、基本的には50ミクロン動く歯と15ミクロン以下しか動かないインプラントに支えられているため入れ歯に力がかかるとたわみが生じ入れ歯が壊れることが頻発する可能性があること。
逆に強固な入れ歯の素材だと力は動かないインプラントに多くかかり、それによってインプラントに問題が起こる可能性があること。

どんな治療でもそうですが、利点欠点を理解して患者さん個人に最適な方法を選択することが大切なのです。
 

PRP療法

  • 2012.06.25 Monday
  • 08:50
たった今、NHKのあさイチで「PRP療法」について特集されていました。
当院で、インプラントを行った患者さんにはおなじみだと思います。
当院では、6年前からPRPを応用して治療を行っています。

当初、増殖因子を応用して骨を作ることに応用していましたが、現在では軟組織の治癒促進に応用しています。
あさイチでもしわ取りに応用していました。

PRPは「多血小板血漿」のことで、要するに血小板のかたまりです。
血小板は、もともと傷ができたところにたまり、傷を治す働きがあるので、手術後の治癒促進能力は折り紙つき。
軟組織の再生に応用するのは理にかなっています。

歯科では、増殖因子の放出の度合いをコントロールした濃縮フィブリン療法なども行われています。

ただ、もちろん濃縮されて投入されるから、効果は増強されますがその度合いは7から10倍程度なので魔法の薬というわけではありません。

私の考えでは、術後の治癒促進は明らかに上がります、また、軟組織に多少無理をさせるような治療「骨を作るときにはかなり軟組織に無理をかけます」の時は安心です。また、術後の疼痛も抑えてくれるようです。

最大の利点は自分自身の血液から取り出すことができる成分で治療できる点にあると思います。 

強力な色眼鏡

  • 2012.06.08 Friday
  • 07:05
最近のインプラント報道。
麻痺や知覚異常、感染やオーバーヒートによる術後疼痛、さらには出血など。
インプラントは、手術を伴うのでどれもあり得ることです。
ただ、術前診査を十分行い、正確な手術を行えば防げる問題です。
最も大きな問題は、報道による強力な色眼鏡です。

さらに今後予想されることは、不適切な義歯による骨の吸収の進行、その後非常に困難な状態でのインプラントの埋入の必要性の増加。
また、きわめて不可能な状態の歯周炎罹患歯の保存とそれに伴う抜歯後の骨欠損、その後の困難な機能回復への対応。
などなど…。

あまりにも安易にインプラント治療を選択することも問題ですが、色眼鏡によって拒絶するのも問題があると思います。
インプラント治療の有効性も理解し、熟慮して治療法を決定してほしいのです。


 

少ない被害で最高の結果を

  • 2012.04.08 Sunday
  • 13:07
6日金曜日は、5時半で診療を終了して申し訳ありませんでした。
CDRI例会でした。
今回は「林 揚春先生にインプラント用いた複雑な多数歯欠損症例の対処」についてご講演いただきました。

林先生は、抜歯後即日に骨の治癒経過を予想してインプラントを埋入している先生です。
それも、重度の歯周炎の患者さんにも、その治癒を待たずに行っている先生です。

患者さんにしてみれば、最終物をいち早く入れてほしいと考えるのは当たり前のことです。
もちろん私たちにしても、安定した結果がいち早く提供できればそれに越したことはありません。

ただそれが無謀はことに終わっては仕方ありません。

林先生の講演は、エビデンスにのっとり、学問に裏付けされたものでした。
お話は、私が聞きかじった知識にもしっかり当てはまり、納得のいくものでした。

林 揚春先生

当院では、安全策を盾に患者さんに時間という貴重な財産を浪費させていたのかもしれません。
これからは、可能な限り時間短縮に努めていきたいと考えさせる勉強会でした。 

天然歯とインプラントの違い

  • 2012.03.28 Wednesday
  • 07:44
インプラント治療はわれわれ歯科医師にとっても、患者さんにとっても非常に大きな恩恵をもたらす治療方法です。
それは、今までの治療法と違い、周りの歯に迷惑をかけず、確実にかみ合わせを支持することが可能です。
それでは、インプラントは天然歯よりもいいものなのでしょうか?
本日はそんなお話。

当然答えはNOです。
世界的なインプラントロジストに何人も出会いましたが、当然答えは一致しています。
いや、むしろインプラント知り尽くしているからこそ、天然歯の素晴らしさがわかるのだと感じています。

それではいったいどこが違うのでしょうか?

最も大きな違いは歯根膜のあるなしです。
天然歯は、骨と歯根膜という繊維でつながっています。
これは、圧力を感じとる受容器官であり、また歯の周りを感染から守っている歯周組織の一部です。
歯の周りの歯周組織は、一グラム当たり100億個以上という細菌量といつも戦っています。
この過酷な環境で、感染に耐えているのは、歯周組織内をめぐる血流と歯と強固にくっつく結合様式のたまものです。

それでは、インプラントはどうでしょうか?
インプラントは、骨と直接くっついているため、圧力を受け止める受容器がありません
そのため天然歯とは違い100倍鈍感です。
また。歯周組織もないため、基本的に歯肉とは弱くしかくっついていません
歯肉の中の血液の流れも異なり、感染に対しては明らかに不利な血流になります。
それでも、問題なく維持できるのは、十分なブラッシングを行っているからにほかなりません。

インプラントは、歯科界に素晴らしい恩恵をもたらしました、ただ、天然歯に代わるものでは断じてありません
歯科界では、安易に抜歯しインプラントにするような風潮が少なからずあるようです。
しかし当院では、可能な限り天然歯を守り、インプラントはその天然歯を守る一手段だというスタンスで、治療を行っていくことが重要と考えています。 

フリクションリテンション

  • 2012.02.09 Thursday
  • 08:26
インプラントの患者さんで、歯の部分をどのようにセットするか。
ほとんどの場合、ネジ止めかセメント止めかになります。
今回、新潟再生歯学研究会で教わった第三の方法 。
それが、「フリクションリテンション」
簡単に言うと、摩擦力だけでセットする方法です。

その利点は、なんといっても体にやさしいということです。
通常、インプラントの歯の部分を外したとき、少なからず炎症所見が見られます。
ところが、新潟の講習会でまじかにみた患者さんの歯肉は、まったく炎症が見られず、見事なほど健康な歯肉でした。
それ以来、当院でも採用。
技工担当の成田さんもつれて新潟に行き、直接インストラクターに習ったり、何回も細かいことを電話で聞いたりと、彼もかなり苦労したようです。

その患者さんのセットが昨日ありました。
徹底的に精度にこだわったため、3週間遅れのセットになってしまいましたが、素晴らしい出来。
その上体にやさしい!

技工士さんには、作成法が難しい分だけ非常に負担をかけてしまいますが、この方法にこだわっていきたいと思います。

買い物眼にニンマリ

  • 2011.12.15 Thursday
  • 08:56
インプラントの手術時にその術式の記録用に動画を撮っています。
今まで撮りためてはいましたが、なかなか活用用途が思いつかずそのままになっていました。
しかし今回、新潟再生歯学研究会の発表準備で、それを編集して改めて感動しました。

記録に使っている機種は、ソニーの豆カムハイビジョンです。
これは、よく芸人が体当たり企画でヘルメットに取り付けたり、ブラタモリで物干しざおの上につけて上からの画像を撮ったりしている機種です。

当院では、ヘッドバンドに自作加工して取り付けて、目線と同じ画像が取れるようになっています。

撮影システム2

これを専用の編集取り込みソフトに入れて保管しています。
今までは気づきませんでしたが、発表のためいろいろソフトを触っているうちに、
動画の一コマを簡単に静止画に変換できる機能を発見しました。
これがすごく使いやすく、きれい。
動画の一コマというと、ぶれたり画質が悪化したり、使い物にならないイメージがありましたが、
モニターレベルでは全く問題がありませんでした。

発表時の大画面に耐えられるかが次の不安ですが、
自分の買い物眼に久しぶりにニンマリしました。
 

それは経験のたまもの

  • 2011.11.23 Wednesday
  • 09:33
インプラント手術を行う場合どうしても必要なもの
それは、骨です。
ところが、歯を抜いてしまうと歯の周りの血液の流れが枯渇してしまうため、
必ず骨は吸収してしまいます。
そうなると、骨を改めて作る手技が必要になってきます。
本日はそんなお話。

現在の骨とくっつくタイプのインプラントが開発されて46年、当初インプラントは骨のあるところに埋入するものでした。
そのため、今とは違いインプラントの部位は天然歯とは明らかに違う構造をしていました。
決して審美的とは言えませんが、機能的には問題がありませんでした。

約10年ほど前、歯周治療の応用から骨を作る技術が開発されました。
当院でも当初から、技術を導入。
少しでもインプラントの適応を増やすことに努力してきました。

様々な材料、術式、考え方により施行してきましたが、その成果にはばらつきがあり、
決して期待通りの結果にならないこともありました。

現在、様々な先生の考え方を自分の中で消化し、経験値も上がって、
それに伴い成果も確実に達成できるようになってきました。

時間と費用、努力を私なりに積み重ねてまいりました。
それこそは、経験と知識のたまものと思われます。

 

ボディーブロー

  • 2011.11.15 Tuesday
  • 08:51
北九州の白石和仁先生
いろいろなことを教えていただいている尊敬できる先生です。

歯周病学会専門医の先生は、今ある歯をぎりぎりまで残す先生です。

そんな先生は、インプラントを天然歯を残す道具として使っています。

白石先生に出会うまでは、学会雑誌で見られるように、いかに インプラントの歯を天然歯のようにするかを求めていました。
そのためにぎりぎりまで歯を残して、やはり駄目だったときの犠牲を考え、その手前で抜歯していたかもしれません。

「歯医者にとって抜歯は敗北である」と白石先生は言います。
「インプラントは使うし、いいものだと思っているが、天然歯はそれをはるかにしのぐものである。
それを、インプラントをするために抜歯するのはどう考えてもおかしい。
本来は、天然歯を残すために利用するものだからだ。
インプラント症例数の多さをうたっている奴なんて、自分は馬鹿だって言っているようなもんだ!」

白石先生の言葉は、いつもボディーブローのように響きます。
 

取り組む姿勢

  • 2011.11.14 Monday
  • 08:57
当院症例数地域ナンバー1。年間インプラント埋入数〇00本
近頃のネット広告やホームページでよく見受けられます。
今日はそんなお話。

先日のインプラントセミナーで聞いた話です。
たとえば心臓外科手術の成功率は50症例以上経験していれば、何百症例経験がある病院比較しても成功率は変わらないそうです。

当院がインプラントを導入して10年たちました。
インプラントの症例数もそれに伴い増えています。
ただ、少なくとも年間何百症例には全く届きませんし、その気もありません。

年間インプラント何百症例の医院は、一日来院数百何十人の医院と似ています。
当院で私が診れる患者数は、おそらく一日20人程度だと思います。
一回の診療に対する基準が、そもそも違うからです。

インプラントの対してもその基準が違うのかもしれません。
インプラント治療は基本的にはやり直しがきかない治療です。
だからこそ、十分分析検討し、その患者さんとは一生向き合う姿勢が最も大事だと考えているのです。


 

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