インプラント治療はわれわれ歯科医師にとっても、患者さんにとっても非常に
大きな恩恵をもたらす治療方法です。
それは、今までの治療法と違い、
周りの歯に迷惑をかけず、確実にかみ合わせを支持することが可能です。
それでは、
インプラントは天然歯よりもいいものなのでしょうか?
本日はそんなお話。
当然答えはNOです。
世界的なインプラントロジストに何人も出会いましたが、
当然答えは一致しています。
いや、むしろインプラント知り尽くしているからこそ、天然歯の素晴らしさがわかるのだと感じています。
それではいったい
どこが違うのでしょうか?
最も大きな違いは
歯根膜のあるなしです。
天然歯は、骨と歯根膜という繊維でつながっています。
これは、圧力を感じとる
受容器官であり、また歯の周りを
感染から守っている歯周組織の一部です。
歯の周りの歯周組織は、一グラム当たり100億個以上という細菌量といつも戦っています。
この過酷な環境で、感染に耐えているのは、歯周組織内をめぐる
血流と歯と強固にくっつく結合様式のたまものです。
それでは、インプラントはどうでしょうか?
インプラントは、骨と直接くっついているため、圧力を受け止める
受容器がありません。
そのため天然歯とは違い
100倍鈍感です。
また。歯周組織もないため、基本的に歯肉とは
弱くしかくっついていません。
歯肉の中の血液の流れも異なり、
感染に対しては明らかに不利な血流になります。
それでも、
問題なく維持できるのは、十分なブラッシングを行っているからにほかなりません。インプラントは、歯科界に素晴らしい恩恵をもたらしました、ただ、
天然歯に代わるものでは断じてありません。
歯科界では、安易に抜歯しインプラントにするような風潮が少なからずあるようです。
しかし当院では、
可能な限り天然歯を守り、インプラントはその天然歯を守る一手段だというスタンスで、治療を行っていくことが重要と考えています。