下のあごの吸収が進んだ義歯の製作

  • 2017.04.10 Monday
  • 06:45

下あごの吸収が進んだ義歯。

以前、「義歯はどこまで大きくしなければならないのか(下あご編)」にも書きましたが、問題がある義歯を使い続けているとあごが不釣り合いに減ってしまいます。

これを図解すると以下のようになります。

問題ある吸収

ちなみに、適合に問題がない義歯を使っていても以下の様にはなってしまいます。

抜歯後

あごの骨は、歯があるときは歯が生えている部分の骨の栄養分を、歯の周りの歯根膜からもらっています。

この歯が無くなると当然歯根膜もなくなってしまうため、基本的には歯根膜によって維持されていた骨も吸収してなくなってしまいます。

下の図を輪切りにすると以下のようになります。

通常吸収

,良分は筋肉とともに動くところ、△脇阿ないところです。

義歯の範囲は当然動かないところと、義歯に圧力がかかるときには動かない程度に伸びたところになります。

この場合は義歯の表面積が大きく、あごの形が凸面に対して義歯が凹面になって安定しやすい形になります。

一方、あごの吸収が進んだ患者さんは以下のようになります。

異常吸収

,良分が非常に大きく△呂曚鵑里錣困です。

またその判別にも高度が技術が必要になります。

この場合は、あごが凹面になり滑って動きやすい状態になります。

義歯も普通の練って固める型を取る材料ではこの形になってしまいます。

その形では食べるときスリップしてずれてしまうので使えません。

そこで、適度の圧力を変えられる特殊な材料で型を取ると以下のようになります。

義歯の範囲

の部分が特殊な材料によって取れた部分、この型の取り方を機能印象と言います。

型を取るのは義歯製作のほんの一歩ですが、とてつもなく大切な一歩なのです。

 

 

 

 

 

義歯のばねの寿命

  • 2015.11.05 Thursday
  • 06:35
部分義歯には、一部の特殊な義歯を除いて必ずばねがついています。
ばねが維持装置として機能するためにはアンダーカットに入ることが必要です。
本日はそんな義歯のお話です。

我々が義歯を作る時には、金属の弾性にしたがってアンダーカットに入れる量が決まっています。
これを正確に測るために、患者さんからとった型をもとに作られた模型を、サベーヤーと呼ばれる器械を使います。
サベーヤー
このサベーヤーによって、正確にアンダーカット量を測定しそれをもとにばねは作られます。

このばねが口の中で機能すると、図の様に変形しながら入っていきます。
クラスプ
クラスプ変形
そして目的の部位に入るとその変形がとかれ外れないように機能するのです。
逆に言うと入れ歯を出し入れする時や維持力が発揮されるときは必ず入れ歯は変形しているということになります。
初めは、変形しても元に戻っていたばねも金属疲労を起こしてだんだん元の状態に戻らなくなります。
こうなると形をプライヤー等で調整してもすぐに弾性がなくなりばねとしては機能しなくなってしまいます。
こうなった時が入れ歯のばねとしての寿命といえましょう。

金属によって疲労度合いを起こす時期はまちまちですが、保険適応になっている金銀パラジュウム合金は比較的早いと思われます。
その為か否かはわかりませんが、保険の義歯は六か月に一回作り直すことが可能です。
常に濡れていて、様々な食品による影響もある過酷な口腔内という環境故仕方がない事項の一つといえるのです。
 

義歯はどこまで大きくしなければならないのか(上あご編)

  • 2015.05.11 Monday
  • 08:01
さて今回は、「義歯はどこまで大きくしなければならないのか」の続き、上あご編です。
読んでいない方はぜひとも、下あご編を読んでからご覧ください。

義歯は、歯肉の上にのっている関係上、必ず残存している歯牙よりも大きく動きます。
またそれゆえに、義歯の下の歯肉も骨も吸収してしまいます。
これは、上も下も同じですが、上あごには舌ベロがないので大きく上あごを覆うことができます。
このことは義歯にとって非常に有利に働きます。
それではどこまで覆わなければならないのでしょうか?

結論から言うと、昔歯があった後方の骨の一番端、「ハミュラーノッチ」と呼ばれるくびれの部分まで覆わないといけません。
中央部は、上あごの硬く動かない部分と軟らかく筋肉によって動く部分の境目までのばさないといけません。
前述した、ハミュラーノッチは口を動かす筋肉が付着しているため、歯が無くなっても機能を続けるために吸収しないで残ると考えられています。
図に示すとハミュラーノッチはこの位置です。

ハミュラーノッチ

そして、上あごの総義歯を重ねるとこのようになります。
上顎義歯後縁
これもかなり後方に感じるかもしれませんが、義歯を作るうえでやはり最低限押さえておかなければならない必要条件といえます。
 

義歯はどこまで大きくしなければならないのか(下あご編)

  • 2015.04.30 Thursday
  • 08:00
入れ歯には入れ歯の形というものがあります。
それは、義歯の安定とその下にある骨の吸収予防に関係しています。
本日は、紙面の関係上、下の義歯についてお話します。
特に後方に支えになる歯が無い、遊離端欠損の義歯について話を絞っていきたいと思います。

この歯の欠損形態は、図に書くと以下のようになります。

抜歯前   抜歯後
実際に触ってみるとわかると思いますが、義歯の下にあるあごの硬さは様々です。
比較的硬いところもありますが、ぶよぶよの柔らかいところもあります。
そんなあごの上と、支えるばねのかかる歯では、力がかかった時の沈み込み量も違います。
どんな義歯でも、必ずあごの上にのっている部分のほうが動きは大きくなります。
この沈み込みの差が様々な問題になってきます。
となると、後ろ側に支えるための歯が残っていない場合は、その動きがより大きくなります。

結論を先に言うと、昔歯があった更に後方の「レトロモラーパッド」と呼ばれる繊維質の部分まで義歯の後方はのばさないといけません。
レトロモラーパッド
この部分は、小唾液腺があり歯と無関係に機能しているので、抜歯による変化が少なく、比較的沈み込みが少ないというのがその理由です。
しかし巷にあふれる義歯を拝見すると、ここまで伸びていないものがかなり多いです。
その為、下の図のように義歯の沈下によってあごがえぐれるように吸収している症例を散見します。
問題ある義歯 問題ある吸収
レトロモラーパットは、位置の性格上、以前あった歯の位置よりも後方にあるわけなので、本当の大きさの義歯は巨大に感じてしまうと思います。
それが最低限必要な入れ歯の形です。
本来の義歯は、下図のようになります。

理想的な義歯 理想的な吸収
しかし、このような義歯でも次第にあごの骨は吸収していきます。
ただ、その吸収量はかなり少ないといえます
そのうえで、定期検診によって必要な時期を見定めて、裏打ちし修理をすることが大切なのです。

片側義歯

  • 2015.03.05 Thursday
  • 08:17
片側の臼歯部がなくなった人は、なくなり方によってはとうとう入れ歯になってしまう状態にあります。
本日はそんな人が訴える素朴な疑問の話です。

当院の「義歯治療」の項目では数回登場している義歯のばねや大きさの話。
それも合わせてごらんになっていただきたいのですが、本日は入れ歯のばねとばねをつなぐ線の話です。

患者さんにとっては、片側がなくなったのであれば、当然そちら側だけに入れ歯が入ると思っているはずです。
その様に行くケースは、後方に歯が残っていてさらに前方にも歯があるケースのみです。
このケースは、中間歯欠損といいます。
ただこの場合は、歯をある程度削るようですが、ブリッジにすることが多い欠損形態でもあります。

本日問題になっているのが、後方の歯が3本がなくなってしまいさらにその後ろの親知らずもないケースです。
こんな患者さんの場合、反対側に歯があるためそちら側では十分食事ができるので、さして入れ歯の必要性も感じない上に、入れ歯の異物感の大きさに面喰ってしまうことが多いです。
こんな後ろに歯が無いケースのことを「遊離端欠損」といいます。
基本的には、すぐ前の歯にばねをかけて、入れ歯を支えさらに反対側の歯にもばねをかけて回転を防止、二つのばねを線でつなぐ必要があります。

通常義歯1 通常義歯2

図にある白い部分が問題の違和感の多いところです。
ただこの部分があるがために、ばねのかかった欠損側前方の歯を揺さぶりから防ぐのです。
このようにせずに片側だけのばねにすると、後ろ側の支えがないので入れ歯が安定せず、またばねのかかった歯にも多大な迷惑をかけてしまいます。

片側義歯1 片側義歯2

噛みこんだ時の力は、図のようにばねのかかった前方の歯のみにかかってきます。
その為に、ばねの歯に負担を増やしてしまったり、入れ歯の下の歯肉に過剰な負担をかけて吸収を早めたりします。

邪魔者であることは十分承知していますが、片側義歯の問題点を考えると、よほどのことがない限り作成することはない義歯の形態なのです。


 

浮動性歯肉(フラビーガム)

  • 2015.02.17 Tuesday
  • 08:00
先日のためしてガッテンでも言っていましたが、合わない総義歯を使い続けるとおこるもの。
主に、上の前歯の部分の歯肉がぶよぶよになってしまうものです。
ぶよぶよですから、この部分でかむと義歯は沈み込み、後方から空気が入って総入れ歯は落ちてしまいます。
また当然その部分はあたって痛くなります。

対処方法は主に二つ。
一つは、手術で切除する。
これが一番ですが、傷が治るまで現在の義歯が使いにくくなるという欠点があります。
もう一つは、特殊な型の取り方をしてぶよぶよの部分を浮かせて圧迫しないようにして、ほかの部分で維持吸着を得る方法。
手術は必要ありませんが、技術が必要ですし他の部分に負担が増えてしまいます。

また、浮動性歯肉になった原因はおそらく前歯で物をかんでいたか、後方の歯がすり減って前歯が強くあたっていたことですので、それを解消しない限りまた再発してしまいます。
原因を解消するの方が重要です。
またたとえ手術で浮動性歯肉を切除し、動かない歯肉を獲得したとしても下にある骨は戻りません。
このようになった場合、骨が上のほうに反り返るようになくなってしまうのでやはり予防が一番大切といえます。

義歯を入れた部分は、多かれ少なかれあごの変化が起こりますので、適切な時期に修理が必要な道具であることをお忘れなく…。

 

義歯の沈下に耐えるには(印象編)

  • 2015.01.28 Wednesday
  • 08:40
昨日もお伝えしましたが、義歯の治療の問題点は被圧変位量が違うところです。
被圧変位量とは、圧力をかけた時の沈み込み量のことです。
本日はそんなお話をしたいと思います。
都合上本日は型取りの工夫に限局してお話します。

例えば総義歯の場合、かむと入れ歯全体が沈み込みます。
この時、被圧変位量の少ない部分は少ししか沈みこまず、大きい部分は大きく沈み込みます。
義歯の内側の硬さはどこも同じなので、当然少ししか沈みこまないところが当たってきます。
通常これを原寸合わせで削っていくことを繰り返します
削合量はどう決めるかですが、適合検査材料の厚みを見て判断して削合しています。
このセット後の削合は、ある意味必ずせざるを得ませんが、それを最小限にするのがよい総義歯を作る秘訣だと考えています。

それでは、どのように工夫して型をとっているのかです。
表面は柔らかい、そして内側は硬い歯槽粘膜の型を取るためには、ある程度流れの悪いもので圧力をかけながらとるしか方法がありません。
つまり、ある程度の圧力で表層の柔らかい粘膜を押しのけ、硬い部分にあたったら更に軟らかいところに流れていく、こんな材料でないと取ることはできません。
保険治療で使われるアルジネート印象材は、軟らかすぎて難しいと思われます。
このような用途に最適なのは、熱で軟らかくなるコンパウンド系の材料です。
この材料の利点は、軟らかくしたいところだけ熱を加えて柔らかくできるところ、さらに足りないところに継ぎ足しができるところです
欠点は、こだわりだすと終わりが見えないというところでしょうか。
保険治療ではできませんが、材料と時間の制約がない自費診療の場合、この材料を流れやすさの順番に3〜4種類重ね合わせて型を取ることもあります。
このように時間をかけると、型取りの時すでに十分な吸着が得られるような印象面が得られます。
いろいろ書きましたが、相手が簡単に変形してしまうところに、かむ力にも踏ん張る入れ歯を入れるのはなかなか大変な仕事なのです。

入れ歯にかかる力

  • 2015.01.27 Tuesday
  • 08:28
入れ歯には噛み合わせることによって様々な力がかかり、その為にあご変化や入れ歯の破損が生じます。
本日は最近経験した症例の話です。

入れ歯は、歯を抜いた後のあごの歯肉の上に入れるものです。
したがって、力がかかると歯肉の厚みによって沈み込みが必ずおきます。
また部分入れ歯は、歯にばねをかけて歯にしがみついた構造をしています。
歯は歯肉に比較して動きが少ないためそこに動く量の差が生じます。
これによって、義歯は口の中では歯を中心に回転することになります。
この動きは、基本的には止めることはできません。

今回の患者さんは、上が総義歯、下は糸切り歯一本のみ残存でした。
私は当初、上が総義歯なので、それほどの力がかかるとは思っていませんでした。
しかし、この回転力によって、下の入れ歯は、補強の目的で入れてある金属の支柱をも砕き折って破折していました。
力の方向を示すように、糸切り歯の部分で真っ二つです。
この動きを後方で支えるために、下の入れ歯では、「レトロモラーパッド」と呼ばれるにかわ状の繊維でできた部分まで後方を伸ばします。
当然今回私もその様に作りました。
しかし防げませんでした。
保険の入れ歯では、これ以上の方策がうてませんので、新しく作る入れ歯も同様の形態になります。
また壊れるとは思いますが、この現状では止むを得ません。
ただ、自費でどのような方策がとれるかというと、単に丈夫さのために金属のフレームにする。
一本残った歯に有害な力が加わらないように、誘導面を広くとる。
このくらいしかないと思います。
これが現状での限界と考えています。

 

マグネットデンチャーというもの

  • 2014.10.20 Monday
  • 08:19
昨日のこと、マグネットを使った入れ歯の支えの歯が割れたので入れ歯を含めて作り直してもらいたいとの電話がありました。
いわゆる「マグネットデンチャー」です。
本日はそのお話。

当院では、基本的には行っていないこの「マグネットデンチャー」
なぜ行わないのか?
そもそも入れ歯というものは、圧力をかけるとかなり沈み込む歯槽粘膜の上にある入れ歯本体が、あまり沈み込まない歯にしがみついている構造になっています。
当然その界面にはものすごくストレスがかかってしまいます。
それを、なるべく打ち消すように、動く方向を規定して設計するのが入れ歯に対する技術力になります。

マグネットを利用する場合、その特性上近接していないと磁力が減少してしまうという問題が生じてしまいます。
入れ歯の中のマグネットは単純に歯牙に組み込んだ磁性金属と触れ合うことになります。
すなわち、沈み込む粘膜と少ししか沈みこまない歯牙が何の緩衝装置もないまま一体化することになります。
これでは、歯牙にかかる側方力が大きくなって破折してしまうのも仕方がないことです。
側方力を開放するために、粘膜とほぼ等高まで歯を削合して滑らせる方法をとっている入れ歯も目にしますが、これではかむたびに粘膜に過剰な負担がかかってしまいます。
総義歯の圧負担を考慮した作り方をしていればまだしも、単純な作り方をしていれば、マグネット部を支点にして入れ歯は壊れてしまいます。

約20年前、このタイプの入れ歯が登場したときに、今までなかった手軽さと作りやすさで多くの歯科医師が応用していました。
ただ、入れ歯の原理からすると非常に危険な考えでした。
当院でも、このタイプの入れ歯を全く作らないわけではありません。
ただ、それは、歯牙破折の心配がほとんどないインプラントに対する応用に限っています。
なんでもそうですが、自分なりによく理解したうえで患者さんに勧めたいと考えています。

すれ違い咬合

  • 2013.10.01 Tuesday
  • 08:40
歯の無くなり方にはいろいろあります。
原因も様々ですが、本日は歯の無くなり方の一種、
最も問題になる「すれ違い咬合」についてです。

かみ合わせは、後方の歯(臼歯)で支えられています。
臼歯は親知らずを除けば上下に八対あります。
この対の一方がなくなると、その部分のかみ合わせは消失してしまいます。
つまり、歯は最小で八本なくなるとかみ合わせがなくなってしまうということです。
もちろん、無くなった個所にブリッジやインプラントをすればしっかり欠損を補うことはできます。
問題は、義歯による治療です。

義歯は、お肉の上に乗っているので、当然動く道具です。
ということは、かみ合わせをしっかり支えるものではないということ…。
すれ違い咬合の義歯を入れると、その種類によって大小ありますが、
その下の顎が早期に吸収したり、義歯のばねが早くに駄目になったり問題が早期におこってきます。
また問題を大きくする要因として、その事にに気づかずに患者さんが使い続けることがあります。

当院では、どんな義歯を作った場合でも、半年後には点検することをお勧めしています。
これは、どうしても起こってしまうこの変化を、なるべく被害の少ない状態でチェックしたいからにほかなりません 。

本来なら、すれ違い咬合にならないように保全したいのですが、なってしまったらその問題を拡大しないようにチェックが必要なのです。

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