フッ素の効果について

  • 2018.06.04 Monday
  • 05:55

フッ素の虫歯抑制効果はよく知られています。
しかし、どのように効果があるのかは漠然としているのではないでしょうか?
本日はそんなフッ素のお話。

 

歯が虫歯になるのは、細菌が産生する酸によって溶ける歯質と、主に唾液によって歯の成分が戻ってくる再石灰化の量の差によるものです。
(詳しくは予防の項目を確認してください。)
フッ素はこの再石灰化を3倍促進させるものです。
正しい使い方を続けて、有効に使用してください。

 

フッ化物の応用は、通常歯磨き粉に入っているフッ化物によってなされます。
多くはフッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムとして添加されています。
またはフッ素溶液ジェルやフッ素洗口剤としても応用されています。
私の私見で言わせていただければ、日常生活習慣に入り込みやすい歯磨き製剤での応用がベストではないかと考えています。

歯磨き剤

使用法ですが、最も好ましい使用法は、低濃度フッ素製剤を頻回に取ることです。
よく歯科医院でフッ素塗布を受けるため(基本的には自費診療になるのですが…)来院される患者様がおられます。
また、歯科医師会でおこなわれるイベントに、長い時間並ぶ家族連れもいらっしゃいます。
しかし、基本的に期待される効果は、歯磨き粉に入っているフッ素と何ら変わるモノではありません。

 

その使用方法は、歯ブラシの端から端まで歯磨き粉をつけ、しっかり歯垢を取るように隅々まで磨き、大さじ一杯程度の水で一回だけ、5秒くらいかけてうがいをし、以降飲食をしないことです。
フッ素添加濃度は、日本でも1500ppm未満まで添加できるようになったので、6歳以上はそれを、6歳未満では今まで通り1000ppm未満のモノを使うことになっています。
理由は、フッ素の投与によって班状歯の発生が増加する危険性があるのでということです。
フッ化物を水道水に添加している米国などで頻発し、そのため審美歯科が発展したという皮肉な出来事が過去にありました。
いずれにしても、フッ素の抗う蝕効果は十分期待して良いと思いますので、積極的に応用する事をおすすめいたします。

歯周病にかかる危険を予測する

  • 2017.02.17 Friday
  • 08:43

歯周病に対するマイクロビオームの頂点、「Red complex の細菌3種類」。

ただこの細菌に感染していても必ず歯周病に罹患するとは限りません。

本日は、その発症を予測する、「予測歯科」のお話。

 

歯周病発症には様々な修飾因子がかかわってきます。

ブラッシングの良し悪しもその一つですが、それだけではありません。

例えば、肥満の指標になるBMI指数、標準が22ですがこれが25以上になると歯周病罹患率が3.02倍、30以上だと8.6倍になります。

年齢でも40歳以上は、罹患率2.2倍。性別では、男性の方が女性より1.5倍罹患しやすくなります。

喫煙歴では、15年以上で2.4倍、30年以上で5.27倍になり、毎日の飲酒ではビール1本程度のもので2.77倍罹患しやすくなります。

さらに糖尿病になると、2.8倍から11.4倍まで上がります。

 

問題なのは、これらのリスクは合併しているのが通常であるということです。

地道な改善を続けるのは容易なことではありません。

めげそうになる時に後ろから背中を押せる医院になりたいと日々考えているのです。

デンタルフロス(糸ようじ)

  • 2015.02.07 Saturday
  • 07:32
昨日の歯間ブラシに引き続き、本日も歯の間の清掃器具。
本日は、デンタルフロス(糸ようじ)のお話です。

歯間ブラシと糸ようじ、同じようなものと考えていいる患者さんが案外多いです。
でもよく観察すると、方や歯ブラシのようなものがついてる、もう一方は糸だけ…。
こりゃぁ歯間ブラシのほうが磨けそうだ…、なんていう感じで歯間ブラシを選択、という感じで歯間ブラシを使っている方が多いようです。

それでは、デンタルフロスについてお話します。
歯間ブラシはブラシを歯肉に押し当てるように入れるので、歯肉の吸収などがおこる可能性がありますが、デンタルフロスは単なる糸なので、その様な圧迫はおこりません。
そのうえ、もっとも磨きにくい部位の一つである隣りの歯のコンタクト部分の下をきれいにすることに特化した器具なのです。
ただし使い方が少し難しいです。
フロスは、コンタクト部分を超えるときに抵抗があります。
力任せにやると歯肉に食い込んでしまいます。ゆっくり力をコントロールしながら行ってください。
コンタクトを超えたら、今度は歯に沿って歯肉の少し中までそっと挿入します。
それから、歯に沿って上に糸をかき出します。こうすることで糸に歯垢が絡んできます。
少し前後に動かしながらコンタクトの上まで移動させ清掃完了です。

実際私も人には勧めておきながらたまにしか行っていませんでした。しかし、最近その爽快感に気づき毎日行っています。
実感として、歯ブラシの機能を補完するツールとしては非常に優れています。
皆さんもぜひ試してみてください。
ちなみに、ホルダー付と糸だけのものがありますが、結局糸だけのほうが使いやすいように感じます。
ただ初めは非常にやりにくいです。実地訓練が必要と感じます。
気軽にご相談ください。当院スタッフが丁寧に御指導いたします。

歯間ブラシ

  • 2015.02.06 Friday
  • 08:18
当院では歯間ブラシを使うところはかなり限定的です。
本日はその理由についてお話いたします。

歯間ブラシ、患者さんの中には「これが入らない部位があるんですけど大丈夫でしょうか?」と不安を訴える方もいるほど世に定着している清掃器具です。
中には毎日毎回すべての部位に行っている人もいるようですが、当院ではこの器具は否定的です。
理由は歯と歯の間の歯肉が下がってしまい審美障害になったり、かえって磨くところが増えてしまうからです。
逆に、できればしてほしいのは、ブリッジの歯が無いところの歯の隙間です。
そのほか、どうしても必要は部分は当院スタッフが指摘します。

歯の間の盛り上がった歯肉(歯間乳頭といいます)は、健康的な印象を与える当院で特にこだわりのある部位です。
これがなくなってしまって、移植で回復するのには非常に大きな労力と技術が必要です。
歯間ブラシを不用意に入れると、この乳頭が傷つくばかりか吸収してなくなってしまいます
そのなると、歯間乳頭によって防御されていた部分に汚れがつきやすくなったり、歯の間が黒く穴が開いたように抜けて見栄えが悪くなります。
また、隣の歯との接触部分の下方に隙間があるためご飯粒が入ったり、息がそこから漏れたりした症状も発生してきます。
一旦無くなるとそれを作るのは大変なものです。
正しい方法で無くさない様にするのが大切なのです。

フロッシング習慣

  • 2014.11.09 Sunday
  • 10:54
おはずかしい話ですが、以前までフロスは、「ブラッシングのみでは成果が出ずに齲蝕を繰り返してしまう中等度のリスク患者さんのみでいいのでは?」と思っていました。
事実、歯科医師の私でさえ、患者さんには勧めても自分で行う場合はかなり難しく、どのようにすれば最後方の歯までできるか定かではありませんでした。
友人の歯科医師から指摘され、また、先日放送があった酒田の熊谷崇先生の「プロフェッショナル、仕事の流儀」での、患者さんのインタビューで、小さい子供がブラッシングよりフロッシングが好きとのコメントから、これではいかんと奮起しました。

当初、大臼歯や最後臼歯には、ホルダー付のフロスでないとできるわけがないと思いこんでいました。
ただ慣れてくると可能なことがわかりました。
このような部位に行う場合、ホルダー付のフロスは、さすがにやりやすいのですがもちが悪く、コストもかかってしまいます。
慣れればすぐできるようになる前方の歯は、糸のみのフロスで行い、操作が難しい後方歯のみホルダー付で行うようにするといいのではないでしょうか?
また後方歯を行うホルダー付のフロスは、糸とハンドルは直角に交差したものしか使えないと思いこんでいましたが、安価な普通の糸ようじ型でもある程度可能なこともわかりました。

また、やり始めるとこれが本当に気持ちがいいです。
今では、朝晩の歯磨き後に必ず(今のところ飲みに行って夜更かしになってしまった時にも…)行っています。

初めは、慣れない感覚から、歯間部を通ったのちに上方にぬく際、治した歯が変なことになるのではと不安になるかもしれません。
慌てずに、ゆっくり前後に動かしながら抜けば大丈夫です。
だまされたと思ってやってみてください。
フロッシング習慣。素晴らしいフレッシュマウスに変化しますよ!

虫歯予防の四葉のクローバー

  • 2013.01.22 Tuesday
  • 08:48
先週のCDRI。
齲蝕予防、小児歯科で知られる、クラジ歯科医院の青木薫衛生士にご講演いただきました。

注目は「虫歯予防の四葉のクローバー」の考え方。
四つの葉に、歯磨き、食事、定期検診、フッ素を配置し、茎の分にキシリトールを置く考え方。
キシリトールは、主役でなく脇役
主役は、あくまでも、歯を溶かす主原因「飲食」。さらに、予防の基本「歯磨き、フッ素」
また、それを管理する「定期検診」

これは、納得です。

今まで、当院では、何とかミュータンス菌をコントロールできないか…。
キシリトール摂取に趣を置いていましたが、やはりメインではないと思います。

データー上、ミュータンス菌が検出されなかった口腔内でも、25%程度虫歯が発生している事実があります。
また、ミュータンス菌がいても、25%はカリエスフリーであったデータもあります。

もう一度、真新しくない齲蝕予防を見直してみたいと思います。 

最も難しい壁

  • 2013.01.11 Friday
  • 07:06
皆さん、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

新年一発目のブログですが、ほんとに難しい…、歯科永遠の課題について書きます。

それは、プラークコントロール、つまり歯ブラシの仕方です。
いささか拍子抜けしていると思いますが…、これがほんとに壁に感じています。

なぜか…。それは、たとえ問題があっても今まで何年も、場合によっては何十年も続けている習慣だからです。
ほとんどの患者さんは、重要性を認識しているし、必要性も理解している。
ただ、ほとんどの場合完全には行われていない。
その上、一時的に改善しても、症状には表れにくいし、基本的に習慣だったものをこちらの説明だけで変更してもらわなければならないからです。

この壁は実に高い…。

この壁を理解していただくために、説明時間をかなりとっても、理解していただいた時のモチベーションを維持するのは容易ではありません。
この重責を負っている衛生士さん。
これからも根気強くよろしくお願いいたします。

先輩からの忠告

  • 2012.11.05 Monday
  • 08:21
当院の定期購読雑誌に「PRESIDENT」があります。
その最新号に、リタイア前にやるべきだった後悔トップ20という記事がありました。
シニア1000名規模で調査した結果…。

その中の「健康の後悔トップ20」.

男女ともトップだったのは「歯の定期検診」でした。

PRESIDENT トップは定期検診

若いとき、なんでもないことが当たり前だった歯も、静かな変化が降り積もって…。
この変化を、最小の治療で微修正するのが定期検診の役割です。

毎回いらっしゃる患者さんは、修正個所が少ないのですぐ終わりますが、
久しぶりの方は、少し時間がかかるかもしれません。

これは、小さな問題のずれが時間の蓄積とともに大きくなったためです。

このアンケート結果は、それを身に染みて感じている先輩からの忠告なのかもしれません。

100%は信用していません

  • 2012.05.26 Saturday
  • 08:02
患者さんの歯を削るか、経過観察か。
ものすごい分かれ道です。
当院では、虫歯の度合いが数値で表示されるレーザーで確認して判断することが多いのですが…。
今日は、それを100%信用していいのか?
そんなお話。

どんな検査でも、医者はそれを100%信用して診断しているわけではありません。
歯科の虫歯について限定するならば…。

虫歯の経験
修復本数
歯垢の付き具合
齲蝕と疑われるところが進みやすい部位かそうでないか。
食生活や普段飲んでいる飲み物の種類
フッ素の使用状況
家族の虫歯罹患歴…などなど。
…を当てはめて判断していきます。

ここに、唾液検査の結果が加わると、さらに信用度が増す判断が可能です。

いずれにしても、経験と知識を礎とした判断になるのです。
 

定期検診の意味

  • 2012.01.06 Friday
  • 09:03
当院を受診した多くの患者さんには定期的にお口をチェックする定期検診をお勧めしています。
本日はそんなお話。

歯医者の私ですら、歯周病も虫歯も完全に予防できているか疑わしいものです。
当院スタッフに定期的に見てもらっていますし、自分でも検査します。
実際に、初期のうちは(いや重度にならなければ)全く自覚症状がない疾患なのです。

それでは、定期的にみていれば完全に予防できるのか?
残念ながらそれも不可能です。

たとえば虫歯は、唾液による修復やフッ素による予防効果がなければわずか3日で出来てしまいます。

歯がみずみずしい小児や青年期は、食べ物や不摂生、清掃不全にによっておこる奥歯のくぼみの虫歯が主です。
しかし、ある程度の年齢になると、石灰化が進んで歯は固くなります。
こうなると、虫歯になりやすい位置は歯と歯の間に移ります。
この位置は通常の磨き方ではブラッシングが不可能なところで、フロスを通さないと磨けません。
その上硬くなった歯は、かみ合わせによる力で微小なひび割れや砕けが生じやすく、そこが細菌の通り道になり虫歯ができるのです。
通常、ひび割れは良く見られる現象で、必ず虫歯になるとは限りませんが中には細菌の経路になってしまうものもあるのです。

当院の定期検診では、レーザーを用いながら虫歯の進行を数値化して治療の必要性を診断しています。
値が低ければ黒くなっていても治療は行いません。
削ることのほうが害になってしまうからです。

このように考えて行っている定期検診。
これにより異常の早期発見はできますが、100%疾患を防ぐことは不可能であると考えているのです。

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