くさび状欠損

  • 2015.07.16 Thursday
  • 18:15
主にかみ合わせによって歯の根元が欠け落ちてしまう病態のことを「くさび状欠損」と言います。
本日はそのお話。

なぜ噛み合わせによって、噛む部分とはかなり離れたところが欠けるのでしょう。
この欠損は図の様な位置に発症します。

WSD 図

噛む位置とはかなり違います。
その原因の一つにはエナメル質と象牙質の硬さの違いがあります。
我々はものを垂直方向だけに動かして食べるのではなく横方向にすりつぶしながら食べています。
その為に、歯には水平方向にたわむ力がかかっています。
歯は硬いように見えて側方力がかかると歪みます。
この大きさが硬さの違うエナメル質と象牙質に同時にかかるので、内側の象牙質は大きく、外側のエナメル質は小さくゆがみます。

側方運動
それによってエナメル質には亀裂が発生します。
そこに歯ブラシの外力が強くかかるとエナメル質の亀裂が剥離して欠損になるのです。

歯ブラシWSD

通常、この欠損は症状が無ければ、つめる必要はないといわれています。
しかし、そのままにしておくと、その欠損が進んでいるのか停止しているのか判断できません。
進んでいれば、つめても取れてしまいます。
また取れなくとも、充填物の下側にかけが進行します。
このように、進行しているかそうでないかはつめなければわかりません。
当院では患者さんにお話しして、ある程度かけが進行している患者さんはつめるようにしています。
その場合でも、削るのはほんのわずかです。
また進行しているのが分かった患者さんには、かみ合わせの微調整やマウスピースの使用を薦めるか検討します。

この欠損は症状は全くないのが普通です。
進行しても大きな問題になるのはかなり高齢になった時かもしれません。
ただ原因がわかっていて、その除去ができるのならばトライする意味があると思っています。
 
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