バイオフィルム

  • 2017.02.13 Monday
  • 08:49

昨日、「常在菌は私たちの体の一部と考え上手に共生しましょう」とお話しました。

本日は、歯周病に対するこの考え方についてお話します。

私たちの歯の周りには、炎症のない健康な場合でも、歯と歯肉の間の溝(歯肉溝)があります。

この溝は、炎症が無い状態ではだいたい2mmくらいの深さになります。

歯の表面には、よく歯ブラシをして付着物がなくなった状態でもしばらくするとたんぱく質の膜が付着します。

 

バイオフィルム

 

そのに初めの常在菌が付着し菌塊を形成します。

ここに、歯周病菌が付着してさらなる菌塊を作ります。

この歯周病菌も常在菌なので、一度感染し定着してしますと駆逐することはできません。

この状態になると、細菌は菌体外重合物質というバリアを作ります。

このため、外部と隔離され様々な細菌が集合住宅を作り成熟していきます。

この状態は3日くらいで完成します。

この集合住宅がバイオフィルムです。

ただ、この時点で必ず歯周病が発症するとは限りません。

その成立には、私たちの抵抗力やバイオフィルムの毒性などが密接に関係するからです。

友好関係が崩れないように、健やかなバイオフィルムと暮らすことが重要なのです。

 

 

 

マイクロビオーム

  • 2017.02.12 Sunday
  • 17:56

「マイクロビオーム」とは?

我々人間は常在菌と共に生きています。

この常在菌は駆逐することが不可能です。

いわば体の一部です。

この常在菌のことを新しい言葉で「マイクロビオーム」といいます。

腸内を例にとれば、善玉菌といわれる常在菌がいると有益なのはご存じでしょう。

これは、マイクロビオームとの友好関係が保たれているということです。

ひとたびそれが崩れると、下痢をしたり、炎症を起こしたりします。

 

このことは、歯周病にも当てはまります。

歯の周りも、マイクロビオーム(プラークやバイオフィルムと言われるもの)が存在します。

マイクロビオームとの友好関係が保たれている場合歯周病は発症しません。

この関係は、細菌の毒性と我々の抵抗力の微妙な釣り合いのもとに保たれています。

この関係を維持させるには、マイクロビオームの毒性を上げないようにし、私たちの抵抗力をキープすることが大切です。

これは、歯周病の予防法とも治療法なるものです。

かなりの大作になると思われますが、本日から、歯周病特集として書いていきたいと思います。

 

マイクロビオーム

 

初日は、キーワード「マイクロビオーム」でした。

20世紀の考え方は「細菌は悪」でした。

しかし21世紀の現代の考え方は、「マイクロビオームは我々の体の一部(共生パートナー)である」なのです。

 

JCPG発表原稿

  • 2016.10.23 Sunday
  • 12:14

来る11月6日、東京医科歯科大学MDホールで行われる、日本臨床歯周療法集談会での発表原稿ができました。

今回は、講演をお願いしている大阪大学歯学部の天野先生に対する質問という形でのプレゼンテーションになります。

JCPG原稿

天野先生は、以前CDRIでも講演をお願いしたことがあり、歯周病を細菌学の視点からさらに深く研究されている先生です。

当院でも先生の講演以来、細菌検査を導入した経緯があるため今回のプレゼンテーションでは、細菌検査に対する疑問点をおり交ぜて質問を組み立てました。

当学会には当院の衛生士もすべて出席しますので、学会後の治療に反映すればと考えています。

 

歯のクリーニングお願いします?!

  • 2015.01.30 Friday
  • 08:34
だいたい、初診の患者さんの主訴に多いこの訴え、
「歯のクリーニング希望」
歯科医院側では、実は何が希望なのかよくわかりません。
本日はそんな、歯のクリーニングのお話。

多くの患者さんで、「歯のクリーニングお願いします」という場合、歯石取りを指すことが多いです。
ただ、医院側としては「歯のクリーニング」はステイン除去、つまり、歯の着色を落とすことを指します。

歯周治療の項目で再三お伝えしている通り、歯石をとるだけでは歯肉の炎症は治りません。
やはり、歯みがきの方法を直さなければだめです。
それと同じことですが、歯の汚れだけをとっても歯肉の炎症は残るし、逆に刺激を加えることになって炎症が増えてしまうことになりかねません。
いくら歯の汚れが取れても、炎症で歯肉が腫れていたら健康的な美しさは獲得できません。

近いうちに大事な出来事がある可能性もあります。
歯の汚れを取るなら取ります、しかし、ぜひ本当の美を獲得するために、持続的な通院をお勧めしたいのです。

歯周病の治療の最終目標点とは…

  • 2014.10.30 Thursday
  • 08:51
歯周病は、歯の周りの組織の病気です。
歯周病の原因である細菌に侵される炎症は、歯肉→歯と歯肉をつなぐ組織→歯と骨をつなぐ組織→骨というように進行していきます。
右に向かうほど炎症が強いといえます。
これを治療するためにはどうしたらいいのでしょうか?
本日は、治療の目標のお話です。

治療の第一は原因除去、つまり細菌を減らすための歯磨き「ブラッシング」になります。
ただ、歯肉が歯から離れて「歯周ポケット」ができると、深い部分は磨きにくく、浅い部分は磨きやすい不釣り合いが生じます。
また、炎症が骨にまで進むと骨が吸収する部分も出てきて、更にこの不釣り合いが大きくなっていきます。

磨きにくい環境を改善するため、歯科衛生士による根の周りにこびりついた石灰化物の除去「歯石取り」を行います。
これによって、根の表面を滑沢にして、汚れを落としやすくします。

ここまでの治療で効果が及ばないところは、検査によって出血します。
この環境では炎症が引かないということになるので、場合によっては手術に移行していきます。
手術にはいくつかの目的があります。
今まで、歯肉の間の溝(歯周ポケット)から盲目的に行ってきた歯石取りを、明視野下で行うこと。
骨や歯肉の不釣り合いを、外科的に切除したり、再生療法を使って解消すること。などです。

いろいろな方法を駆使して、炎症がなくなると、検査でも出血することがなくなります。
また、歯ブラシも上達して、細菌の塊が残る部分もなくなりました。
この状態が歯周病で言う「コントロールできた状態」です。
ここまでの治療が、歯周病の治療と言えます。

ただしこれで終わりではありません。
今はこの環境でコントロールできても、長い間それを維持できるとは言えない環境とはなっていないこともあります。
骨が減ってしまって、かむ力に耐えられない部分は歯をつないでかぶせたり、インプラントを応用したり、矯正を応用して歯並びを治療し磨きやすい環境を整えたり…、などです。

環境整備も終わりました。これが歯周病治療の最終目標点でしょうか?
答えは残念ながらノーです。
私たち人類は年齢とともに抵抗力が変化していきます。いわば、人としての環境の変化と言えます。
これにも対応していかないとなりません。
これに必要なのが「メインテナンス」。定期検診がこれにあたります。
苦労してコントロールした歯周病罹患部は、少しの変化でまた炎症がぶり返しやすい部位であるとも言えます。
その様なウィークポイントを監視して、いち早くその変化に対応するのがその目的です。
このメインテナンスは、実は終わりはありません。

歯周病のの最終目標点は、揺れ動く様々な環境因子に対抗しながら充実した食生活を送りながら人生を過ごし切るということなのです。

 

歯周病細菌検査

  • 2013.03.26 Tuesday
  • 09:06
今季から新しく導入した臨床検査。
リアルタイムPCR法による、歯周病細菌の検査です。

御存じ歯周病は細菌によって発症する病気です。
ただ問題なのが、この原因菌が口の中の常在菌であるところです。

ということは…。我々はこの原因菌を完全に駆除できないということです。
ではなぜ細菌量を調べなければならないのか…?

最近の研究で、感染細菌の種類によって、発症した後の重症度に大きな違いがあることがわかってきました。
重症になりやすいということは、リスクが高いといいかえることができます。

この高リスクの患者さんには、今までとは違ったアプローチ、定期検診期間が必要なことがわかります。
言い換えるなら、治療法のより厳密な決定と、検診間隔の決定に役立ちます。
さらにこの検査を駆使するならば、細菌レベルで治療結果を判定することもできます。

残念ながらこの検査は自費になってしまいます。
ただ、今までて手さぐりで行ってきた歯周治療の効果判定を、
より科学的に判定する一助になると思われるのです。 

歯周病の原因

  • 2012.07.27 Friday
  • 07:54
歯周病の原因。
これは細菌なのは間違いありません。
ただ先日のCDRIで講演いただいた吉野敏明先生に教えていただきました。
なぜ、抗菌療法のみでは良くならないのか?を…。

それは、細菌が出す内毒素が、菌が死滅した後も残ってしまいからなのです。
おまけに、これはほぼ物理的に取り除かない限り無くならないそうです。
さらに、歯の内部数ミクロンまで入り込んでしまうものなのです。

だから、細菌が取りついてしまった根の周りを歯石を取る器具で削らなければならないのでした。

ただ削ればいいというわけではありません。
過不足なく行わないと、歯肉は下がり、知覚過敏の原因になってしまうからです。

これを、達成するために衛生士のみならず私も技術を磨いていかなくてはと思いました。

スーパーパワフルな吉野先生。ありがとうございました。

吉野先生

歯周病菌に科学的に対抗

  • 2012.03.07 Wednesday
  • 22:28
私は、基本的に理屈から理解し、対処法を探るタイプであります。
根本的に理系の考え方なんだと思います。

16日に開催予定の今月のCDRI。
大阪大学の天野敦雄教授の講演を予定していいますが、その抄録がFAXされてきました。
以下抜粋します。

2001年ギネスブックに「世界で最も蔓延している病気は歯周病である。地球上を見渡してみても、この病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない。」と明記されたそうです。
歯周病菌は、数年前には常在菌とみなされており、定着を予防することは困難、除菌も難しいとされています。
ただご心配なく。
強力な毒性を持っているこの最近は、実は弱点も多いとのことです。

それは、増殖には、血液中の鉄分(ヘモグロビン)と栄養素が必須、酸素や酸性環境も苦手なため、出血の無い浅いポケットにはごくわずかしか生存できないということです。
ただ、逆に言えば、細菌が蓄積し炎症が起き出血すれば爆発的に増殖するということです。

この細菌に対抗する理屈は何か?これが今回のテーマです。

今から楽しみな講演です。 

余計な副産物

  • 2012.02.02 Thursday
  • 08:38
歯周炎が中くらいまで進んでしまった患者さん。
歯ブラシにやり方を見直し実践、当院衛生士さんも口腔ケアを徹底します。
それでも、部分的に良くならないところが出てきます。

そういうところは歯周炎の手術の適応になります。
良くならない部分は基本的には、細菌やその毒素、炎症の広がった組織が回復の邪魔をしています。
ブラッシングや歯石取り・プロフェッショナルケアでは届かない所が、炎症の残る部位です。
その部分を切って歯肉をめくり、直接隠れた歯の根や骨に手当を施す
簡単に言うと、歯周炎の手術はこういうものです。

この手術をした後、炎症が改善され、歯肉は吸収します。
ところが、これにより、物が入りやすくなったり、根が露出したことによって知覚過敏になったりします。

手術をすることによって、生まれる副産物。
歯肉が下がることによって、磨きやすくなりますが、磨かなければならない部位は増えてしまうのです。

 

歯周病と体について

  • 2011.10.17 Monday
  • 09:07
最近やっとマスコミでも取り上げてもらい始めている話題。
歯周病と関係のある疾患の話。
WHOでは、何年も前から、取り上げられている歯周病関連疾患が本日のお話。
その中でも、糖尿病と心筋梗塞についてお伝えします。

糖尿病にかかっていると感染に対する抵抗力が衰え、傷の治りも非常に悪いことが知られています。
このことから歯周病も重症化しやすく、コントロールしにくいことが言えます。
その上、歯周病菌やその毒素が血管から体に入ると、インスリンが働きにくい体の状態を高めて、糖尿病を悪化させる可能性が指摘されています。

心筋梗塞に関しては、歯周病かかっていると、2〜3.5 倍発病リスクが高まるといわれています。
このリスクは、歯周病が重篤になるに従い高まることも報告されています。
歯周病によって産生されたサイトカインが血管を介して心血管に波及するためといわれています。

そのほかにも、低体重児出産や呼吸器系疾患等々、いろいろ言われていますが、一番大切なのは体で慢性の疾患があればそれをコントロールすることだと思います。
歯周病は、自覚症状が著しく低い疾患ですが、地道にコントロールしていかなければならない疾患なのです。

 

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